第八話  ぬくもり  ブルーは薄暗い部屋の中にいました.  すこし埃っぽい臭いがします.  じっとしたまま,動く気配がありません. 「・・・」  ブルーはどうやら眠っているようです. 「おや・・・こんなところにいたのかね」  扉が開きました.廊下からは電気の光が入ってきています. 「仕方のない子だ・・・こんなところで眠ってしまって」  おじいさんは,優しく笑っています. 「う・・・ん?」  ブルーは温かいベッドの上で目を覚ましました.  大きくあくびをして,体を起こしました. 「起きたようじゃな.おはよう,ブルー」 「おじいさん!」  ブルーは久しぶりにおじいさんに会えて,うれしくてたまりませんでした.  しかし,おじいさんは, 「どうしたというんじゃ・・・」  わけが分からないといった様子です. 「あのね,ボク・・・」  ブルーは今までの出来事を全部話すべきか迷いました. (もしかしたら,ボクの夢だったのかにゃ・・・?)  その日の夜のことでした.  ブルーはもう一度,あの部屋に行ってみました. (おじいさんは,この絵をラウからもらったのかにゃ・・・?)  ミアの絵を見上げた時でした, 「・・・君はこの絵がすきなのかい?」  ラウの声が聞こえた気がしました.  ブルーが振り返ると,そこにたっていたのはおじいさんでした.  おじいさんはブルーの横にやってきて,彼を抱き上げました. (あれ? そういば・・・)  いくら目が見えないとはいえ,ブルーにさわったら彼が人間ではないことが分かっているはずです. (やっぱり,おじいさんはラウなんだよね・・・?)  そのとき,ブルーはあることを思い出しました. 「おじいさん・・・ミアが」 「・・・」 「ミアが・・・幸せだって伝えてって」 「・・・」  おじいさんは黙っていました.  それから,ブルーを床に下ろすと,窓のほうへと歩いていきました.  ブルーは,おじいさんの背中をみて,泣いているのかなと思いました. (これでよかったのかにゃ・・・?)  その日からは,不思議なことが起こることもなく,ブルーはおじいさんと温かい生活を送りました.  しかし,ブルーの冒険にはまだまだ続きがあるようです.